シコ・ブアルキのアルバムについて

11/23のシコ・ブアルキ特集Liveの前に、

今日はオススメのシコのアルバムについて。

 

自分でも薄々気づいていたのですが、私は彼の最近の作品が好きです。

彼の本質のひとつでもある初期の作品や、サンバ・カリオカ、重厚なプロテストソングというよりは、どちらかというと70年代半ば以降、もっと言えば1980年代半ば以降のブラジル軍事政権が終わってからの彼の作品が、特に好きなようです。女性目線で、ブラジル人でなくても身近に感じる、シコ・ブアルキ。なので、私の好きなシコ・ブアルキ、ということでお付き合いください。

 

彼の50年を超えるキャリアの中で発表されたアルバムの数は膨大で、私自身も全ての作品をじっくり聴けている訳ではありませんが、その中でもいちばん好きなアルバムは、もしかして最新作"Caravanas"(2017)かもしれません。Cristovão Bastosのエレガントなピアノから始まる"Tua Cantiga",今回の私達のLiveと同じくチェロとギターと唄という編成の"A Moça do Sonho", ブルース調の"Blues pra Bia", ボレロ風の"Casualmente", ショーロ・カンサォン的な"Desaforos", そして孫たちとのコラボ/duet曲など、バラエティ豊かで力の抜けた洒脱な曲が並びます。ちなみにこのアルバムは、今年のラテングラミーの4部門にノミネートされているようです!"Caravanas"と同じような作風の前作"Chico"(2011)も、大好きなアルバムです。微笑ましいロマンスを唄う曲も多く、曲調もショーロ・カンサォンにブルース、バイアォンやワルツ、ボサ・ノヴァなど色々で、最後にJoão Boscoとの共作"Sinhá"でどっしり重厚なテーマを唄って終わる(素晴らしい曲ですが、この詞は私にはおそらく唄えません)。けれど、何と言ってもこの"Chico"は、日本語対訳付きの国内盤が出ている貴重な作品。なので、より身近にシコを感じられます。

 

その前の作品"Carioca"(2006)も、リオ・デ・ジャネイロの空気感が漂うバラエティ豊かなアルバムで好きですし、

完成度の高い"As Cidades"(1998)も、佳曲揃いの"ParaTodos"(1993)も"Meus Caros Amigos"(1976)も好きですが、

今また聴き入ってしまうのは、1983年の同名バレエ・ミュージカルのサウンドトラック"O Grande Circo Mistico"(神秘的大サーカス)。Edu Loboとの共作ということもありシコのオリジナルアルバムとは言えないかもしれませんが、Milton Nascimentoが唄う"Beatriz"、Gal Costaが唄う"A Historia de Lily Braun"、その他SimoneやGilberto Gil, Zizi Possi, Tim Maia, そしてAntonio Carlos Jobimなど、ブラジル音楽界の錚々たるアーティスト達が参加している素晴らしい作品です。1983年の舞台の映像を観たことがありますが、数年前映画版が制作され、今年ブラジル・ポルトガル・フランス・ロシアなどで公開されているとか。サントラも、1983年のものを踏襲しつつ、新しいアレンジが加えられているようです。日本でもぜひ観たい!"Ópera do Malandro"のように日本版舞台があれば、ぜひ観てみたいですね。

 

そしてもう一つオススメなのが、シコ本人のパフォーマンスではなく他のアーティスト達によるカヴァー集、

Lumiar社Songbookシリーズの"Chico Buarque Songbook Vol.8"。Ana CarolinaやDjavan, Ed Mottaに

Luiz Molodia, Leila Pinheiro, Zizi PossiなどMPBの素晴らしいアーティスト達が、シコの曲をカヴァーしています。

中でも、Paulinho Moskaがギターと唄で表現する"As Vitrines"が絶品!こちらもCDは入手困難なので、

中古で出ているのを探すしかないかもしれませんが、YouTubeで一部聴けるようです。

 

そんなこんなで、シコのCDやレコードのパッケージ商品の多くは、今や日本では入手困難になってしまっていますが、

先日、最新作"Caravanas"のツアーの模様を収めたCDとDVDがリリースされたようで、もうすぐ日本にも入荷されるようです(diskunion/Latina online等で入手できるはず)!新しい作品ほど入手しやすいようですが、やはり時代はデジタル化。

ということで、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスでは、割と沢山のシコ作品を聴くことができますので、

もしまだあまりシコを聴いたことがない!という方でご興味のある方は、ぜひ聴いてみてください♪

 

カエターノ・ヴェローゾやマリーザ・モンチも好きなのですが、彼らの曲は、ご本人が唄ってこそ!

のようなところがある気がして、自分のLiveでは今のところ時々しか唄いません。でも、シコの曲は何故か

唄いたくなる曲満載なのです。小説家でもあるシコの詞は、どこか第三者的な物語性があって、普遍的な魅力があるのかも。

 

11/23は、今回ご紹介したアルバム以外からも何曲か演奏しますが、

私達のLiveを聴いてシコ・ブアルキをもう一段近く感じて頂けたら、嬉しいです♪

 

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2018/11/23(金祝)

“Canta Chico - シコ・ブアルキを唄う- “

 @自由が丘hyphen

 

ロマンティックで物語性豊かな楽曲たちを、

チェロと7弦ギターと唄でお届けします。

 

Kayo Kamishima(vocal)

平山 織絵(cello)

尾花 毅(7guitar)

  

19:00open / 19:30start

Charge: 2,500yen(+2order)

 

◆自由が丘"hyphen(ハイフン)" 

東京都目黒区自由が丘1-26-9 三笠ビルB1 

東急東横線/大井町線「自由が丘」駅徒歩2

Tel: 03-3723-2251 (ご予約)

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