フランスの画家、オディロン・ルドンの展覧会に行ってきました。
久しぶりの美術館、そして楽しみにしていたルドン、嬉しかった!
彼の作品は、20代の頃にNYのMoMA、そしてパリ在住時にオルセー美術館などで観ていたはずですが、最初に感銘を受けたのは、偶然アムステルダムのゴッホ美術館で、彼の花の絵を観た時でした。
それまでは、「黒い色彩で、少しおどろおどろしい絵を描く人」というイメージだったと思います。
こんなに綺麗な、しかも独特の色彩タッチで描く人だったんだ、と気になり始め、パリに帰って丁度その時グラン・パレで催されていたルドン展に滑り込みで観に行き、そこで展示の最後に飾られていた絵 "Virgin"(聖母:
1916遺作)の温かな神々しさが忘れられず、ずっと心に残っていた画家でした。日本に帰って来て、美術館に行く暇も殆ど無くなり、所蔵の多い岐阜県立美術館や地方の展覧会に行けるはずもなく、早や5年...。
そしてようやく、ここ東京で、ルドン展を見に行くことが出来ました。今回は、"植物"をキーワードにした作品を中心に世界中から彼の作品が集められていて、中でもやはり私は晩年に近づくほど、彼の作風がいいなぁと。でも、キャリア初頭(と言っても、30代後半/40代前半)の『黒』の時代の作品も、結構沢山ありました。ところどころで解説や流れ、影響を受けた人々、彼の個人的な背景などが詳しく書かれていたので、それらの作品も、植物や神話の影響を受けていたり、心象風景だったり、「ただコワイだけではなかった」ことがわかったことも、収穫。
人物画を描くにも、背景が朧げな色彩の重なりだったり、花を描くにも写実画というよりは何処かにファンタジーが潜んでいたり、彼ならではの表現が本当に興味深くて。図録や写真、ゴブラン織りの作品、グッズなど、どれも彼の本当の色彩を表現することは難しく、やはり本物には適わない。模様のように見えても、あくまで規則性のない、自由な絵。時には心地よくないのだけれども、何故だか惹かれてしまうような、「綺麗なだけではない」もの。そういう、不思議な魅力を持った絵画であり、人だったのでしょうね。
今回は、いちばん好きな彼の作品 "Virgin"(聖母)は無かったけれども、またいつか何処かでお目にかかりたいものです。
自分の感性の奥の方を刺激する体験は、本当に貴重。こういう時間を、できるだけ持たないと!
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