カエターノ回想記

時間が前後してしまうのですが、書きそびれていたカエターノ・ヴェローゾ来日公演@NHK大阪ホールの回想録を少し。

今回の来日公演は、事情により東京公演に行けないことがわかっていたのと、やはり単独公演が観たい!ということで、10/5大阪公演に行くことにして、早々にチケットを取りました。大阪といえば私はいつも、「Liveを観るための弾丸ツアー」が多いような...。もう20年近く?前の、13Cats@大阪ブルーノート、服部緑地公園で一人で6時間も観ていたイベント『春一番』(金子マリさん、有山じゅんじさん、坂田明さん、黒田京子さん、友部正人さんetc)も...。
ああ、懐かしいそんなこんなで、ゆっくり観光をしたことのない、大阪。いつかゆっくり訪れたいものです。
 
さて、カエターノ。私は彼のアルバムをコンプリートするような熱烈ファンというよりは、初めて聴いた時から、とにかく彼のその声・その唄に聴き惚れていて(楽曲の素晴らしさは勿論)、「この人は、ぜひ一番シンプルな編成(=声とギター)で、生で聴いてみたい!」と何年も思い続けてきました。きっといつか、声とギターのLiveをしてくれると(もしくは、ジョアン・ジルベルトをプロデュースした時のような声とギターの作品を、自分でも作ってくれると)。それが実現したのが、今回の11年ぶりの来日公演でした。御年74歳。また来日してくれることはあっても、『声とギター』公演はきっと今回限りでしょう。


当日、彼がステージに現れた瞬間、会場は熱烈歓迎のスタンディングオベーション!
それからはもう、夢のような時間でした。あの『声』、あの艶。彼にしか持ち得ないものを確かに持っていて、そして存在そのものが『表現』でした。本当に、ずっとずっと聴いていたかった。MCも少なめに、20曲以上演奏したのにこんな風に思わせるなんて、およそ50年も自分の音楽・自分の表現をまっすぐに貫いてきた人だけが持つ魅力なのでしょうね。彼は、アーティスト・表現者で「ある」ことに徹している人だと思います。意図や努力というよりは、「ある」こと。そういう意味で、言ってしまえば、ほぼ8割はもう天賦のものなんだろうなと。アーティストは誰でも、という訳ではないけれど、彼はやはりそうなんだと今回思いました。

全くもって比べものにはならないけれど、キャリアの円熟期に一粒でもいいから、こんな表現ができたらなぁと。願いながら、今日も自分の唄をうたってゆきます。ああ、また聴きたい(笑)。